最後の_01

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【書籍】余命宣告されたらどうする?二宮敦人『最後の医者は桜を見上げて君を想う』/TO文庫/2016年 

内容

舞台は武蔵野七十字病院の若き医師3人。その同期でもある3人はそれぞれに信念があります。命に限りがある患者に対して、奇跡を信じ、諦めず難病と戦うことを願う副院長でもある天才外科医の「福原 雅和」。闘病に疲れた患者には無理に延命治療や余命を勧めずに自分らしく余命を過ごすことを勧めることから、院内で「死神」と呼ばれる「桐子 修司」。その2人ほどの信念は無く、患者と一緒に悩み、迷い寄り添う「音山 春夫」。この3人のそれぞれの信念が「とある会社員の死」「とある女子大生の死」「とある医者の死」を通して語られていきます。

2016年に発表された二宮敦人の小説『最後の医者は桜を見上げて君を想う』は、自分の余命を知った患者とそれぞれの信念を持つ医師たちの物語です。死神と呼ばれる医師・桐子と奇跡を信じる医師・福原が対立する中、患者たちは究極の選択を迫られます。それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ。

 

目次

●第一章 とある会社員の死

●第二章 とある女子大生の死

●第三章 とある医者の死

読後感

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』は、「生」と「死」について考えさせられる作品です。文庫本で400ページ弱ですが、読みやすい文章でサクサク読めます。しかし、読み終わった後は色々な思いが頭に残ります。

作品中では、桐子と福原が「生」と「死」、「光」と「陰」という対極的な立場で描かれています。しかし、彼らはどちらも患者や家族の幸せや平和な死を願っています。ただ、その方法や考え方が違うだけです。彼らが対立することで、読者も自分ならどちらに賛成するか、どちらに任せるか考えざるを得ません。

また、作品中では3人の患者がそれぞれ異なる選択や結末を迎えます。その選択や結末はどれも正解でもあり、不正解でもあります。それは個人や家族によって異なります。しかし、どれも自分らしく生きたり死んだりすることに尽きます。そのために必要なことは何か、それは読者自身が考えなければなりません。

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』は、「生」と「死」について真剣に向き合わせてくれる作品です。自分や大切な人が余命宣告されたらどうするか、そんなことを考えたくないかもしれませんが、いつか必ず訪れることです。その時までしっかりと生きておくことが大切だと思います。

この記事があなたの読書の参考になれば幸いです。ありがとうございました。

 

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